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2006年04月02日

「札幌飛行場正門跡」

 北大第二農場の北の境界は宮の森北24条通である。この通りに沿って北大の外国人研究者宿泊施設があって、この施設に外国からの研究者の入居を世話したこともある。そんな関係で、この通りを通っているのだが、標記の跡が残っているとは今まで気がつかなかった。この通りの西9丁目には、写真のようなコンクリートの門柱が2つあって、その一つには確かに「札幌飛行場」のプレートがはめ込まれている。ここはかって飛行場があった場所なのである。

札幌飛行場跡1A.jpg

 北区役所が設置した飛行場跡の説明の表示板があって、それによると、大正15年(1926年)旧北海タイムス社が報道用のため北24条以北を滑走路として使用し、昭和8年(1933年)に逓信省がこれを含めて拡張し、昭和20年(1945年)終戦とともに閉鎖されたとある。歩道には写真のようなプロペラ機や複葉機の絵が描かれていて、ここが飛行機に関係した場所であることを足元から伝えようとしている。

札幌飛行場跡2A.jpg

 この絵にもある「風雪」碑は、写真にも写っているように、門柱の間に置かれたプロペラにパイロットの顔を埋め込んだ彫刻である。彫刻は坂担道氏によるもので、彫刻の裏面には「大空に憧れ、空高く飛んだ、父も兄も弟も、遠い思い出になって消えてしまうだろう。」の文章が刻まれている。どういう状況の、どんな思いを込めた文章なのか知る由もないけれど、飛行場が無くなり、大空を飛んだ往時の飛行機の雄姿の記憶が人々から消えてしまったことは確かである。

 この場所の近くに札幌北高があって、同校の生徒達はこの正門跡の傍を行き来していたはずである。かなり以前にその生徒の一人であったわが娘に、この正門跡の記憶があるかと尋ねると、知らないというのが答えだった。史跡は気に留められることの少ない存在である。

投稿者 esra : 2006年04月02日 03:05

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